世界最高峰ピアノデュオ慈善コンサートの中で「きぼうのとり」を朗読会開催

 福島市のふくしん夢の音楽堂(市音楽堂)で28日開かれた「ウィーン・ピアノデュオ・クトロヴァッツ」のチャリティーコンサートで、世界最高峰と称される兄弟デュオの調べを堪能した県民らは感嘆の声を上げた。東日本大震災からの復興を願う兄弟の温かな思いも披露された。

 福島民報社と県内外の信用金庫などが、震災からの復興を祈念して共催し、約千人を無料招待した。ともにウイーン国立音楽大教授でオーストリア出身の兄ヨハネス・クトロヴァッツさん、弟エドワード・クトロヴァッツさんが2台のピアノを向き合わせて出演した。
 ショスタコービッチが息子を思い書いた「2台のピアノのためのコンチェルティーノ」で幕を開け、兄弟だからこそ実現する絶妙なハーモニーを披露した。ガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム」による変奏曲は即興的なかけ合いで奏で、聴衆を魅了した。アンコールにも応じ、ピアソラの「リベルタンゴ」、福島公演のため特別に編曲した「花は咲く」などを響かせた。
 福島市の主婦佐藤喜栄子さん(84)は「テクニックと情熱が感じられた」と笑みを浮かべた。橘高管弦楽部の後輩らとともに来場した内藤聡大さん(3年)は「兄は落ち着いていてパワフル、弟は表情が豊かで見ていても楽しかった。震災を忘れず復興を支援してくれることに感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

【コンサート共催団体】
 福島民報社、日本青年館、ニッセイ、中日新聞社(東京新聞)、日本青年団協議会、会津信金、ひまわり信金、あぶくま信金、福島信金、郡山信金、白河信金、須賀川信金、二本松信金、盛岡信金、一関信金、花巻信金、石巻信金、気仙沼信金、城南信金

■開演前にセレモニー 「きぼうのとり」朗読 テレ朝アナウンサー佐藤さん
 開演前にセレモニーを行い、共催団体関係者が震災から立ち上がる人々を応援するクトロヴァッツ兄弟の思いを紹介した。
 被災地に寄り添う兄弟に賛同の輪が広がり、昨年の東京公演に続きコンサートが実現した。共催団体を代表し、日本青年館の仏木完常務理事は「多くの人に来てもらい、感謝したい」、福島民報社の芳見弘一社長は「兄弟の思いを共催団体の協力で届けられる」と述べた。石田優復興庁事務次官、井出孝利副知事もあいさつした。
 テレビ朝日アナウンサーの佐藤ちひろさん(いわき市生まれ、南相馬市育ち)が、震災の記憶を伝えるため福島民報社が企画・制作した絵本「きぼうのとり」を朗読した。